すまし顔のおふたりさん
今週のお題「ひな祭り」
我が家はわたしと1つ下の妹の2人姉妹であったから、3月3日はもちろんわたしたち2人の日だった。
わたしの母親は記念日やイベントはきちんとお祝いするタイプで、ひな祭りにはわたしと妹にひとつずつちいさな金平糖の包みをくれたし、夜ごはんのあとにはひなまつりらしいピンクのケーキが出てきていた。
こじんまりとしたおうちに住んでいたからひな人形はお内裏様とお雛様、ぼんぼりや桃の花、ちいさなひしもちの飾りが付いているだけのささやかなものだったけど、わたしはそれが大好きだった。
階段に豪勢に並ぶひな人形にももちろん憧れたが、わたしにはお内裏様とお雛様、愛する2人さえ並んでいればよかったので、おばあちゃんからもらった手のひらサイズのものや幼稚園で作った折り紙のもの、ガラス細工の繊細なものまで、いろんなお内裏様とお雛様を同じ場所にぎゅうっと集めて幸せを感じていた。
ちらし寿司は好きじゃないから、全ての具をよけて白いお米だけ食べていたし、金平糖は見るのが好きで食べるのは好きじゃなかった。
幾重にも重なる着物の色に想いを馳せながら、ピンク色のケーキを口いっぱいにほおばり、5月5日もちゃっかりお祝いしてもらおうと思って眠りについた幼少期。